TSUTAYA閉店ラッシュで終わるレンタルビデオ文化、次に来るものは

TSUTAYA閉店ラッシュで終わるレンタルビデオ文化、次に来るものは 店舗・施設

TSUTAYAの店舗が、また街から姿を消そうとしている。

大阪のあべの橋店は2026年10月4日に、心斎橋エリアの店舗も2027年1月11日に閉店する予定だ。週末になるとTSUTAYAに寄って、何を借りるか棚の前で悩んだ記憶がある人も多いのではないだろうか。

この記事では、閉店の経緯とレンタルビデオ文化が終わりを迎えた背景、そして次にどんな文化が生まれていくのかを整理していく。

  • TSUTAYA閉店の具体的な日程
  • レンタルビデオ文化の始まりと縮小してきた背景
  • 40〜60代にとってのTSUTAYAの思い出
  • 次に生まれる文化についての予想
  • 閉店した店舗跡地の今

TSUTAYAが相次いで閉店、何が起きているのか

報道によると、大阪の「TSUTAYAあべの橋店」は2026年10月4日をもって営業を終了する。レンタルの最終利用日は9月27日、物販の最終日が10月4日とされている。

これに加えて、心斎橋エリアの店舗も2027年1月11日に閉店する予定だと報じられている。同じ大阪の中心部で、時期をずらして2店舗が姿を消すことになる。

閉店の具体的な理由について、公式から詳しい説明があったかどうかは確認できなかった。ただ、こうした閉店は大阪だけの動きではなく、全国的なレンタルビデオ店の縮小傾向の中で起きていることは押さえておきたい。

レンタルビデオ文化はなぜ終わりを迎えたのか

そもそもレンタルビデオ店は、1980年代後半から全国に広がっていった業態だ。店舗数のピークを迎えたのは1990年代半ばとされている。ちょうど、今の40代・50代・60代が学生時代や社会人になりたての頃に、街のあちこちにレンタルビデオ店が増えていった時期と重なる。

数字で見ると、レンタルビデオ業界の縮小ぶりがよく分かる。個人向けレンタルシステムの加盟店数は、1995年12月の1万2454店をピークに、2017年12月には3046店、2022年12月には2527店にまで減少したという。

TSUTAYAも例外ではない。ピーク時の2012年には1470店を超えていたが、2024年4月には約790店、そのうちビデオレンタルを扱う店舗は約510店まで減った。フランチャイズ最大手だったトップカルチャーは、2023年10月期までにレンタル事業から撤退している。同社のレンタル事業売上高は、2011年から2020年の10年間で35.9%減少したそうだ。

もう一つの大手であるGEOも、2018年3月期の1220店から2023年3月期には1069店まで減っている。

背景にあるのは、やはり動画配信サービスの普及だろう。HuluやU-NEXTといった定額制サービスが2010年代半ばから広がり、スマホひとつで見たい作品をすぐ再生できるようになった。2020年以降は、外出を控える動きが広がったことも、配信サービスへの移行を後押ししたとされている。

40代・50代・60代にとってのTSUTAYAという場所

数字だけ見れば「時代の必然」で片づけられそうな話だが、実際にTSUTAYAに通っていた世代にとっては、そう単純には割り切れないものがあるはずだ。

金曜の夜、仕事帰りや学校帰りに寄って、新作コーナーの前で誰かが借りていないか確認する。目当ての作品がレンタル中だったときの、あの小さな落胆。旧作コーナーを端から端まで眺めて、結局知っている作品を選んでしまう。返却期限をうっかり忘れて、延滞料金を払いに行った経験がある人も少なくないだろう。

今の40代・50代・60代にとって、TSUTAYAは単なる「レンタル店」ではなく、週末の過ごし方そのものに組み込まれた場所だった。家族で一緒に棚を見て回ったり、友人と待ち合わせて一緒に借りに行ったり、というのも、当時はごく普通の光景だったのではないだろうか。

【あなたの体験があればここに追記】

そう考えると、今回の閉店ニュースに「寂しい」という反応が集まるのも自然なことだろう。単なる1店舗の閉店以上に、自分の若い頃の週末そのものが少しずつ過去になっていくような感覚があるのかもしれない。

【考察】次はどんな文化が生まれるのか

ここからは編集部の考察(予想)です。
レンタルビデオ文化が終わっていく一方で、次に来るのは「効率よく大量に消費する」文化の延長ではなく、むしろその反動としての「手間や偶然性を楽しむ」文化ではないかと考えられる。

そう予想する理由は3つある。

1つ目は、配信サービスがあまりに便利になりすぎたことへの反動だ。見たい作品がすぐ見つかる一方で、「棚を眺めて偶然おもしろそうな作品に出会う」というレンタルビデオ店ならではの体験は、配信のレコメンド機能では再現しにくい。この「偶然の出会い」を懐かしむ声は、レンタル時代の終焉を扱った記事でも触れられている。

2つ目は、レコードやフィルムカメラなど、一度は衰退したアナログ文化が近年になって一部で再評価されている流れだ。効率化が進みきった先で、あえて手間のかかる体験に価値を見いだす動きは、レンタルビデオ文化にも同じように起こる可能性がある。

3つ目は、閉店した店舗跡地が別の業態に生まれ変わる例が出てきていることだ。単に消えて終わるのではなく、地域に根ざした新しい形の店舗やコミュニティスペースとして生き残ろうとする動きが、次の文化の芽になっていくのではないだろうか。

この考察はあくまで予想であり、実際にどんな文化が主流になるかは今後変わりうる。あくまで一つの見方として読んでもらえたらと思う。

レンタルビデオ店の跡地は今どうなっている?

閉店したレンタルビデオ店の跡地すべてがどうなっているかを網羅した公式データは確認できなかった。ただし、レンタルビデオ店跡地の活用状況を整理した分析記事によると、空き店舗のまま放置されるのではなく、別の小売業態やサービス業態に転換される例が出てきているという。

大型の店舗面積と、駅前・幹線道路沿いといった好立地は、他の業態にとっても魅力的な条件になる。レンタルビデオ店という業態そのものは縮小しても、その「場所」としての価値は形を変えて残っていくと考えられる。

一方で、京都の「ビデオインアメリカ京都西七条店」のように、配信では見られない旧作や希少なDVD、約10万枚という品ぞろえを武器に生き残りを図る個性的な店舗も存在する。店員による手書きのおすすめコメントなど、配信サービスにはない「人の手による選書」を魅力にしている点は、次の文化を考えるうえでもヒントになりそうだ。

まとめ

  • TSUTAYAあべの橋店は2026年10月4日、心斎橋エリアの店舗は2027年1月11日に閉店予定
  • レンタルビデオ業界は1995年をピークに縮小が続き、動画配信サービスの普及が主な背景とされている
  • 40〜60代にとってTSUTAYAは、週末の過ごし方そのものに組み込まれた場所だった
  • 次に来る文化は「効率」より「偶然の出会い」や「手間を楽しむ」方向への揺り戻しかもしれない(編集部の考察)
  • 閉店した店舗の跡地は、別業態への転換や、独自の品ぞろえで生き残る店舗など、さまざまな形が見られる

レンタルビデオ店の看板が一つ、また一つと外れていくのは、たしかに寂しい。それでも、そこで培われた「棚の前で悩む楽しさ」や「人のおすすめに出会う体験」は、形を変えながらどこかに残っていくのではないだろうか。次にどんな文化が生まれるのか、しばらくは注目していきたいところだ。

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