インフルエンザが早くも流行しているのは東京都だけではありません。
全国的に見ても、すでに広い範囲で感染が拡大しています。
中でも突出しているのが沖縄県だ。
厚生労働省の発表によると都道府県別の定点あたり報告数で沖縄県が全国最多となっています。
東京都の注意報とあわせて、全国の流行状況を公式データで整理する。
この記事では全国の定点あたり報告数の推移と都道府県別の状況、そして沖縄県が突出している背景を厚生労働省などの公表データにもとづいて解説する。
- 全国のインフルエンザ定点あたり報告数の推移
- 都道府県別の報告数ランキング
- 沖縄県が全国最多になっている状況
- 東京都を含む主要都県の位置づけ
- 編集部が考える沖縄で突出している理由
- 今後、全国的にどう推移していく可能性があるか
全国の定点あたり報告数、3週連続で急増
インフルエンザの流行状況を測る指標の一つが「定点あたり報告数」です。
全国およそ5000カ所の定点医療機関に報告された患者数を平均した数値で1を超えると流行入りの目安とされています。
厚生労働省の発表によると、この数値は次のように推移している。
- 第34週(8月17日〜23日):1.11(流行入りの目安である1.00を超える)
- 第35週(8月24日〜30日):1.76(39都道府県で前週より増加)
- 第36週(8月31日〜9月6日):3.29(さらに急増)
1999年に感染症法が施行されて以降この時期にここまで早く流行入りしたのは、2009年の新型インフルエンザ流行時に次いで2番目とされています。わずか3週間で数値が3倍近くに増えていることからも拡大のスピードの速さがうかがえます。
都道府県別ランキング、沖縄が突出
第35週(8月24日〜30日)時点の都道府県別データでは沖縄県が8.50人で全国最多となっています。
上位の状況は次の通りだ。
| 順位 | 都道府県 | 定点あたり報告数 |
|---|---|---|
| 1位 | 沖縄県 | 8.50人 |
| 2位 | 岩手県 | 4.33人 |
| 3位 | 新潟県 | 3.58人 |
| 4位 | 神奈川県 | 2.99人 |
| 5位 | 青森県 | 2.88人 |
| 6位 | 東京都 | 2.65人 |
| 7位 | 埼玉県 | 2.58人 |
| 8位 | 千葉県 | 2.51人 |
沖縄県の8.50人は、2位の岩手県(4.33人)の約2倍、全国平均(1.76人)の5倍近い数値になります。
地元紙の報道では沖縄県内でも中南部を中心に感染が拡大しており、前週比で倍増したとも伝えられています。
東京都は6位で2.65人となっており全国平均よりは高いものの沖縄県ほど突出した数値ではない。
ただし、その後9月17日の発表では、都内31保健所のうち14カ所、人口比で47.87%にあたる地域が注意報の基準を超えており、東京都内でも状況は日々更新されています。
39都道府県で増加、全国的な広がり
今回の発表で注目したいのは上位県だけが突出しているわけではないという点だ。
第35週の時点で47都道府県のうち39都道府県で前週より定点あたり報告数が増加しています。
つまり、一部の地域だけで局所的に流行しているのではなく、全国のほとんどの地域で同時に感染が拡大している状況だといえます。特定の地域に住んでいるから安心というわけではない点は、押さえておきたいポイント。
【考察】なぜ沖縄県が全国最多になっているのか
ここからは編集部の考察(予想)です。
沖縄県が全国平均の5倍近い数値で突出している背景には、地理的に海外との人の往来が多いことと、夏場でも冷房を使う機会が多い生活環境が重なっている可能性があると考えている。
そう考える理由は2つある。
1つ目は、今回の早期流行に、日本と往来の多い香港・台湾・タイなどで先行していたウイルスが関係している可能性が指摘されていることだ。沖縄県は地理的にこれらの地域と近く、観光客の往来も多い。海外からのウイルスの持ち込みという観点では、他の地域よりも早く影響を受けやすい位置にあると考えられる。
2つ目は、沖縄県は夏場でも気温・湿度が高いため、屋内では冷房を使う機会が本州以上に多いことだ。冷房を使う際は窓を閉め切ることが多くなりがちで、換気が不十分になりやすい環境が、感染拡大の一因になっている可能性がある。
ただし、これは公表データと地理的な特徴をもとにした編集部の予想であり、沖縄県や厚生労働省が「海外由来」や「冷房による換気不足」を公式な原因として説明しているわけではない。
今後、公的機関からより詳しい分析が示された場合は、そちらの情報を優先してほしい。
今後の推移で注目したいポイント
今回の統計で示された基準では、定点あたり報告数が10を超えると「注意報」、30を超えると「警報」の水準とされています。沖縄県の8.50人はすでに注意報の水準に迫る数値だ。
今後、他の地域でも数値が上昇を続ければ、東京都のように地域単位で注意報が発表されるケースが増えていく可能性があります。全国の状況は厚生労働省や各都道府県の感染症情報センターが週ごとに更新しているため、自分の住んでいる地域の状況が気になる人は、公式ページでの確認を習慣にしておくといいかなと思います。
特にこれから人の移動が増える連休シーズンを控えていることを考えると、現時点で流行が目立っていない地域でも今後急速に数値が上昇する可能性はある。
全国的な広がりを踏まえ居住地域にかかわらず基本的な予防対策を続けることが重要です。
注意報・警報の基準は地域ごとに違う
ここで一点補足しておきたいのが、「注意報」「警報」の基準は、実は全国一律の固定値ではないということだ。
目安として「定点あたり10人で注意報、30人で警報」という数値が紹介されることが多いが、実際の発表基準はそれぞれの都道府県や保健所管内が、過去の流行データをもとに独自に設定しています。
東京都が9月17日時点で「注意報」を発表しているのも都独自の基準にもとづく判断であり、全国一律の「定点10人」という数値に達したという意味ではありません。
そのため、単純に全国の数値だけを比べて「この県はまだ注意報が出ていないから安全」と判断するのは早計だ。自分の住んでいる地域の状況を正確に知りたい場合はその地域の感染症情報センターや保健所が発表する情報を確認するのが確実です。
自分の地域の状況はどこで確認できるか
全国および都道府県別のインフルエンザ発生状況は、厚生労働省が週ごとに報道発表資料として公表しています。あわせて多くの都道府県が独自に感染症情報センターのウェブページを運営しており、より地域を絞った情報を確認できます。
- 厚生労働省:インフルエンザに関する報道発表資料(週次更新)
- 各都道府県の感染症情報センター:都道府県内・保健所管内ごとの状況
- お住まいの市区町村や学校からのお知らせ:学級閉鎖など身近な情報
これから連休や行楽シーズンで移動先が決まっている人は、自分の居住地域だけでなく訪問先の地域の状況もあわせて確認しておくとより具体的な対策を立てやすくなると思います。
まとめ
全国のインフルエンザ定点あたり報告数は、8月中旬から9月上旬にかけて1.11→1.76→3.29と急速に増加している。都道府県別では沖縄県が8.50人で全国最多となり、岩手県、新潟県、神奈川県、東京都などが続いています。
39都道府県で前週より数値が増加しており、一部地域に限らず全国的に流行が広がっているのが今シーズンの特徴です。東京都のようにすでに注意報が出ている地域はもちろん、まだ数値が低い地域でも油断せず基本的な対策を続けておきたい。


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